仙台市の浄土真宗・徳照寺の副住職佐藤亜池香(あいか)さん(32)がDJを務めるラジオ番組「ラジオ・ザ・僧侶」がちょっとした話題になっている。放送開始から先月で3年目を迎え、僧侶や信者をゲストに、知られざる日常生活を紹介する軽妙なトーク番組は看板番組の一つともいう。佐藤さんは「『お坊さん』の素顔を知ってもらい、イメージを変えたい」と意気込んでいる。(山下真範)
2008年4月に始まった番組は、市内のコミュニティーFM「ラジオ3」(76・2メガ・ヘルツ)で、毎月第2水曜日の午後2時10分頃から約30分間放送。リスナーからの反響も上々で、今年4月からは再放送を含め月2回の放送となった。今月の放送分は、四国88か所の霊場をめぐるお遍路。ゲストとともに概要や伝統を紹介した。
「お参りが始まる徳島県は発心の道場なんです」というゲストに、佐藤さんは「悟りを開きたいという心を起こす。起承転結で言うと起の部分ですね」などと分かりやすく説明する。
ゲストには、宗派を問わずに住職や檀家(だんか)らを招き、一般には知られていない寺の日常生活や、住職のひそかな趣味、悩みなどを紹介する。
ゲストが取り組む社会貢献活動をPRすることもあり、最近は宗教の枠を超え、キリスト教信者らもゲストに招いている。
これまでに、子どものPTAの会合に法衣をまとって参加した女性住職の逸話なども披露。実家のお寺を継ぐか悩む女子大生に、「まだ決めなくても大丈夫」と、読経で鍛えた低いよく通る声が、ラジオから流れる。
佐藤さんは大学を卒業し、27歳で実家の寺を継ぐと、広く活動を知ってもらうため、若い檀家を対象に勉強会などを開いてきた。そこで感じたのは「若者の関心はまだまだ低い」ということだった。別の番組のDJをしていた経験からラジオ放送を思い立ち、企画書をラジオ局に持ち込んで直談判し、放送を始めた。
大学在学中は劇団に所属し、映画に出演した経験もある。端正な顔立ちに耳まで隠れた今風の髪形で、「仏教は縁を説く教え。色んな巡り合わせの尊さを番組を通じて伝えていきたい」と、さわやかに語った。
読売新聞 から
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