仏教の天動説を表現した龍谷大所蔵の「須彌(しゅみ)三界図」が、中国で約400年前の明代に描かれていたことが、大学の調査で24日までに分かった。西洋では既に地動説が力を持ち始めたころで、中国の仏教の宇宙観を知る上でも重要な手掛かりになりそうだ。同様に天動説を表す江戸後期の日本の模型「須彌山(しゅみせん)儀」などとともに、30日から7月30日まで京都市伏見区の龍大深草学舎至心館で開かれる企画展で公開される。
拓本の須彌三界図は須彌山を中心に広がる世界を表す。山の下方から、人間がいる「欲界」、呪縛(じゅばく)から脱した「無色界」などが階層的に並ぶ。中腹左右に太陽や月、最上部に仏3体が描かれている。
龍大所蔵の多くの日本の須彌山図に紛れていたが、詳細な調査で、拓本に明朝時代の崇禎4(1631)年に中国の僧の宗可が描いたとの記載があることが確認された。日本では江戸後期に、西洋の地動説に対抗して天動説を表す図や模型が多く作られたという。
龍大の鍋島直樹教授は「須彌三界図は、日本の須彌山図には見られない仏が、わたしたちの迷いの世界を見守っている」と話している。
京都新聞 から