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仕事帰りにサクッと座禅がシアトル流

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558-3.gif世界的なスピリチュアル・ブームの中、心の内観であるメディテーション、つまり瞑想に引かれる女子が少なくないというのは当然の流れかもしれない。もともと、自然を愛し、世界平和を願うヒッピー文化が根付くシアトル。昨今、街のあちこちに、メディテーションのイベントを告知するポスターが張られ、仕事帰りや週末に手軽に行ける無料スポットも続々と登場している。より究めたい人のためのワークショップや合宿などもあり、選択肢はますます広がっている様子。今回紹介するシャンバハラも、そんなメディテーションの場の一つだ。

 月曜、火曜、木曜の夜と、日曜の朝に場所が開放され、誰でも無料でメディテーションをしに訪れることができるシャンバハラは、世界中に支部を持つチベット仏教系施設。ここシアトルでは、寺ではなく、住宅街にある普通の民家の建物がメディテーション会場として使われている。木曜には、初めての人のために、インストラクターによる無料トレーニングも実施。筆者も早速、このトレーニングを受けてみた。

 まずは小部屋に案内され、自分に合う座禅用のクッションを選ぶところから始まる。いすに座ってもOK。そこからもう、禅寺の座禅とは全く趣を異にする。座禅の姿勢がととのったら、手をひざに置き、口をやや開いて力を抜いて、目は開いたままにしておく。頭の中で真言、数字、自分の名前など、何か特定の言葉を繰り返すことにより、思考停止を図るというのが、瞑想のやり方だと教えてもらった。しかし、これがなかなか難しい。どんどんいらないこと(雑念)が頭に浮かんでしまうが、これを片っ端から消すように努めなければ、無の境地には達せられないのだ。

トレーニングが済んだら、大部屋へ行き、メディテーションに集まったほかの人達と合流する。仕事着らしいきちんとした格好から、ジーンズにTシャツ、ワンピースまで、参加者の服装はまるでバラバラ。女性のほうが多いが、若者だけでなく、年配者の姿も少なくない。1回目の座禅が終わると、ウォーキング・メディテーション、つまり、大部屋の中を歩き回りながら瞑想を続ける。そして、2回目の座禅がスタート。最後に読経(英語に翻訳されている)による瞑想が行われることもある。平日夜は全行程で1時間程度。日曜は3時間と、ゆっくり利用できる。トレーニングを行うのも、瞑想の号令を掛けるのも、みんなここに集まるボランティアのメンバーだ。

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 「ボランティアのメンバーは、現在110人ほど。メディテーションには、木曜にトレーニングを受ける初心者だけで、毎週5〜12人来ます」と、ディレクターのマルシアさん。彼女自身、ボランティアで参加しており、本業はマッサージ・セラピストだ。ここ数年で規模が大きくなり、現在シアトルにある2カ所に加え、もう1カ所増やすことを検討しているところなのだという。

 メディテーションの魅力を尋ねると、「自己中心的な考えが減り、他人や周りに目が行くようになります。また、現在の自分を知ることで、次にするべきことが自ずと見えてきますよ」とのこと。これぞ、まだ人生が定まらず、自分探しを続けているアラサー女子には必要なことなのかもしれない。

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