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仏教の「家庭生活」

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782.gif仏教には、大きく分けて、いわゆる「小乗仏教」と「大乗仏教」があります。

 小乗仏教は、大乗仏教の成立以前からある仏教です。大乗仏教は、小乗仏教を批判する人々が、後に起こした仏教です。小乗仏教はおもに東南アジア方面に広まり、「大乗仏教」は、中国や日本等に広まりました。

 最初に、小乗仏教の「家庭生活」に対する考え方から見てみましょう。小乗仏教は、「出家主義」の仏教です。「出家」は、文字通り「家(家庭)を出る」ことです。家庭を捨てて、父母、妻子を捨てて、ただ独りになって、修行に専念するのです。

 ですから出家者は、結婚はできません。また結婚していたとしても、妻子を捨て、別れなければなりません。「出家」は、すべての家庭生活、性生活、またすべての経済行為、商売や生産行為を捨てることを意味します。仏教初期の経典である『スッタ・ニパータ』には、こう書かれています。

「この世のものはただ変滅するものである、と見て、在家にとどまってはならない」「子を欲してはならない。友人はもちろんである。犀(さい)の角のように、ただ独り歩め。交わり(家庭生活・結婚生活等の交わり)をしたならば、愛情が生じる。愛情にしたがって苦しみが生じる。愛情から災いの生じることを観察して、犀の角のようにただ独り歩め」つまり家庭生活を営むなら、様々の愛情が生じ、執着心が生じ、それが苦しみを生み出すから、涅槃に至ることはできない。

 だから、草原を悠然と歩く「犀」の角のようにただ独り歩み、家庭生活をせず、修行に専心して執着心を捨てよ。そうすれば輪廻の生存から脱して仏になれる、というのです。このように小乗仏教は、出家した者だけが救われる可能性を持っている、という教えです。家庭生活を営む者には、仏になる可能性はないのです。

 ただ、仏になる可能性が全くないのかというと、そうでもありません。仏教は輪廻転生説に立っていますから、仏教によれば人間は「来世」(来生)で、また別の者に生まれ変わることになります。もしこの世で善行を積み、出家者を経済的に支援したりして功徳を積むなら、きっと来世で良い環境に生まれることができるでしょう。そして自分も、今度は出家者として修行できるかもしれません。そうすれば救われる可能性も出てくる、というわけです。

 その意味では、在家者にも救われる可能性はあると言えます。しかし、結局は出家して家庭生活を放棄しなければ救われない、という原則に変わりはありません。これが、大乗仏教成立以前の、仏教の考え方です。

www2.biglobe.ne.jp/~remnant/bukkyokirisuto07.htm から

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