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バーミヤン遺跡を観光資源に 日本の保存部隊、復興に汗

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01-56.gifアフガニスタン中部バーミヤンで、反政府武装勢力タリバーンに破壊された仏教遺跡の保存作業に、日本の研究者らが今年も取り組んでいる。破壊や盗難で傷みが激しい壁画などの崩落を防止し、地域の復興につながる観光資源にする狙いがある。

 バーミヤンでは、タリバーン支配下の2001年3月に、がけに彫られた55メートルと38メートルの二つの大仏が爆破されたほか、両大仏周辺の石窟(せっくつ)に描かれた壁画も破壊や盗難にあった。5、6世紀ごろにつくられ、7世紀には中国の僧、玄奘三蔵も訪れた。

 保存作業に当たるのは、国立文化財機構東京文化財研究所の山内和也・地域環境研究室長や前田耕作・和光大名誉教授ら7人とアフガン人5人のチーム。03年以来10回目となる今回の訪問では、今月末までの日程で、石窟に描かれた壁画のうち、はげ落ちそうな部分を補強、修復する作業に取り組んでいる。石窟は少なくとも数百あるとされ、観光客に人気のあったところを優先的に作業を進めている。

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 バーミヤン遺跡は、画家の故平山郁夫さんらが保存を呼びかけたことで知られ、日本でも人気が高いが、アフガンの治安状況悪化で、海外からの観光客は途絶えたままだ。山内さんは「保存と同時に観光客が安全に鑑賞できる状態にし、観光資源として地域の復興に役立つようにしたい」と話している。

 発掘された壁画や仏像を展示する博物館など文化施設を建設する構想もあり、今月中旬には日本大使館とアフガン情報文化省の関係者が現地を視察した。一方、大仏を破壊前の状態に復元する構想もドイツの保存チームから出ているが、日本としては現状維持を優先する考えという。(バーミヤン=望月洋嗣)

朝日新聞 から

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