八十八か所のお遍路も今回で4度目。認知症のじいちゃんを連れて、軽自動車に鍋釜、寝袋、そしておしめを積んでの珍道中です。
今回は五十二番札所から逆回りしました。逆に走るということは、標識が出てないところが多いということ。一つ間違えると3度くらい人に聞きながらお寺に行くという具合で、私の頭の中のナビはなかなか目的地に導いてくれません。
じいちゃんと2人で手をつないで歩いていると、見ている方たちが「あんな夫婦になれるといいね」と言いながら拝んでいかれます。外国の人からポーズを頼まれたりして、2人してスターになった気分です。
私とじいちゃんの宿泊先は、お寺の駐車場か道の駅です。身障者用の駐車スペースや高級ホテル顔負けのトイレがあるため、とても快適に過ごせます。
私たちは年金暮らしでお金はありません。しかしお金を使わないで遊ぶことを考えて旅をしています。じいちゃんが動ける間は続けようと思っています。仮にお金があっても、じいちゃんは歯が悪くて、魚か豆腐のような物しか食べません。きっと長生きできるでしょうね。
こんな珍道中で楽しいことは、いろんな人に出会えて話ができること。特に若い男の子と話ができることが何よりもうれしい。亡くなった息子に会えた気がして。
また来年も八十八か所に行くつもりです。
毎日新聞 から