京極マリアは、近江国(滋賀県)の武将、浅井久政の娘として小谷城(同県湖北町)に生まれた。20歳ごろ、40歳ほど年の離れた京極高吉(たかよし)のもとに後妻として嫁ぎ、晩年は次男・高知(たかとも)が拝領した丹後国の泉源寺村で過ごしたとされる。地元民に「泉源寺様」と慕われた。
洗礼は、夫の高吉とともに安土城下で受け、豊臣秀吉のバテレン追放令後も死ぬまで信仰を貫いたという。NPOの呼びかけ人、増田憲嶺(けんりょう)・智性(ちしょう)院住職(47)は「混迷を深める現代こそ、政略結婚や宗教弾圧があった戦国時代を生き抜いた女性の強さから学ぶことは多い」と話す。
同寺が京極マリアの位牌(いはい)を安置していることから、12年前に先代住職が西舞鶴カトリック教会と合同で380年忌の法要とミサを開いた。境内の近くに、かつて位牌が発見された藁葺(わらぶ)き屋根の此御(こみ)堂があった。増田住職は「京極マリアの遺徳をしのんだ縁者が仏式の位牌をつくったのではないか」と推測する。
増田住職の計画では、境内に礼拝堂を備えた木造平屋建ての此御堂を復元して世代を超えた地域交流ができる場とし、近くに京極マリアの等身大の石像を建てる。すでに高さ60センチの石像が完成しており、等身大の建立時に併せて開眼法要を開くという。
来年のNHK大河ドラマ「江(ごう)——姫たちの戦国」は、浅井長政と織田信長の妹・市との間に生まれた3姉妹の物語。舞台となる滋賀県の市民らと連絡を取りながら街おこしの手法を探る。
asahi 新聞から