死者2698人、行方不明者270人を出した中国・青海省の地震から14日で3カ月がたった。被災地は標高4000メートル近い高地。多くの被災者は草原に設けたテントで避難生活を送っているが、短い夏が終われば、厳しく長い冬が訪れる。今後の支援のあり方を探るため、CODE海外災害援助市民センターの吉椿雅道さん(42)が被災地を訪れた。【川口裕之】
吉椿さんは四川大地震(08年)の被災地支援を続けてきた。6月2日~同12日、四川省成都から陸路で片道2日半かけて被災地である青海省玉樹チベット族自治州に入り、最も被害が大きかった玉樹県中心部の結古鎮やその周辺で、支援物資を配りながら被災者や現地で活動するNGOから聞き取りをした。
結古鎮では、土づくりの家のほとんどが倒壊し、一面が土色の状態。がれきの近くでテント生活を送る人もいるが、多くの被災者が、最大の避難キャンプとなっている結古鎮から1~2キロ離れた草原で、テントを張って暮らしている。
避難キャンプには数千のテントが無秩序に張られ、数万人の被災者が生活しているが、行政も十分に状況を把握できていない。テントも不足している。草原には川が複数流れており、今後雨期になると川があふれてテントが浸水する恐れがある。キャンプ運営が大きな課題となっている。
被災地は9月には冬になるが、政府は仮設住宅を建設しない方針だといい、テントで越冬せざるを得ない状況だ。
被災地ではチベット仏教が信仰されている。結古鎮にあるチベット仏教の聖地の一つである結古寺や、有名な禅古寺も被害を受け、プレハブで本堂を造るなどしているという。亡くなった僧侶もいる。被災者の信仰は厚く、「つらい時にはお経を唱えている」などと話し、受け取った義援金をすべて寺に寄付する被災者もいるという。寺をはじめチベット仏教の復興そのものが、被災者を元気付ける可能性がある。
また、現地で飼育されているウシ科のヤクは、乳からバターを作ったり、毛をロープにしたり、ふんを燃料にしたりと生活に欠かせない家畜。ヤクの支援が被災地の伝統的な生活を支援することにもつながりそうだという。
中国では、四川大地震(08年)で多くのボランティアが活動した。いわば「ボランティア元年」だった。青海省でも、避難キャンプで中国国内の複数のNGOが活動しており、四川省で活動していた20代や30代の若者もいるという。ただ、資金の問題もあり、冬が訪れる9月以降も継続して活動できるか、課題があるという。
CODEではヤクや寺院を巡る支援などを検討中だ。救援募金も集めている。
郵便振替00930-0-330579。加入者名CODE。通信欄に「中国青海省地震支援」と明記。募金全体の15%を上限に、事務局運営・管理費に充てる。問い合わせはCODE(078・578・7744)。
川口裕之 より
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