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アースデイ(地球の日)に始める:三つのエコロジー

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555.gifアースデイ」は地球環境に関する大規模な討論集会/デモンストレーションとして、1970年にアメリカ合衆国で始まりました。このアースデイがきっかけとなり、アメリカ合衆国では環境保護局が設立され、政府として環境問題に取り組む態勢が整いました。日本でも同じ年に銀座などで歩行者天国が始まり、翌年には環境庁が設立されています。

日本のアースデイは1990年に始まりました。当時の環境庁はその設立のきっかけがアースデイだったにも関わらず、アメリカ合衆国からきた運動への協力などしないという理由で、アースデイ・フェスティバルへの後援さえ断っていました。まだまだ意識の低かった環境庁はじめ、政府も一般市民も環境問題や環境運動への関心が薄かった時代です。

日本における初めてのアースデイ開催によって、農薬や工場からの排煙、排水、自動車の排気ガスや、原発施設からの放射能といった公害といわれる特定の地域の問題を越え、市民の力をあわせ、国単位、そして世界全体で地球環境の問題を解決していくための態勢作りが行われました。

この20年間、日々環境問題に取り組む個人や団体の活動と、その参加、協力によって日本各地でアースデイ・アクションやアースデイ・イベント(アース・フェア)が継続的に、また新しく開かれてきました。この40年間で市民や企業、政府の地球環境問題に対する関心は高まり、いまやそれがビジネスとしても考えられるような時代になりました。この間に解決された問題もたくさんありますが、未解決の問題も多く、さらに新たな問題も発生しています。

自然保護と公害問題が結びついて、アースデイをはじめとする環境保護運動となったように、今後はさらに視野を広げて取り組んでいく必要があるでしょう。フェリックス・ガタリが『三つのエコロジー』で提唱しているように、環境のエコロジーに取り組むだけでは、現代社会のこの全面的な問題に対応できません。現代のエコロジーの問題は、地球環境だけではなく、社会環境、精神環境にも及んでいます。

1177.gif『三つのエコロジー』に関して、現在の日本での大きな課題としては、地球環境では気候変動や原子力開発と廃棄物処理の問題、社会環境では米軍基地や格差と貧困の問題、精神環境では年間三万人を越える自殺者や家族間での殺害事件などが挙げられると思います。それらを一連の問題として考えること、環境のエコロジー、社会のエコロジー、精神のエコロジーを合わせた課題に取り組む出発点として、「アースデイ」という強度をもった日を選択してください。

http://www.earthday.jp から

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