ホーム 仏教のスペース Culture 「幻の寺」跡から、豪族名入りの瓦を発見

「幻の寺」跡から、豪族名入りの瓦を発見

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k_img_render.jpg府教育委員会は25日、和泉市府中町4丁目の和泉寺跡から、人名が刻まれた8世紀前半(飛鳥〜奈良時代)ごろの瓦の破片5点が出土したと発表した。うち1点は地元豪族の名前で、寺を建立した人物の可能性があるという。和泉寺は遺構が確認されていない「幻の寺」。府教委は「寺の実態解明につながる発見」としている。

府教委文化財保護課によると、和泉寺は周辺の田んぼや水路の区割りなどから約220メートル四方の大規模な寺院だったとみられる。発掘調査で見つかった瓦の破片約1800点のうち、1点に「珎縣主(ちぬのあがたぬし)廣足(ひろたり)作」の文字が刻まれていた。字体や瓦の製作技法から8世紀前半ごろのものという。

「ちぬ」は府南部にあった和泉国(いずみのくに)周辺を示す古代の地名。「珎縣主」は、正倉院に保管された奈良時代の税に関する文書などから、和泉国の3郡の一つ和泉郡の役人を務めていた豪族の名とされる。

ほか4点には「坂合部連前(さかいべのむらじまえ)」「讃美(さみ)」などと刻まれていた。「坂合部」は中央貴族の名、「讃美」は僧侶の名の一部と考えられるという。府教委は、地元とのつながりの強い「珎縣主」が寺院の造営主体だった可能性が高いとみている。

瓦は4月10日〜5月9日、河南町東山の「府立近つ飛鳥博物館」で展示される。月曜休館(5月3日は開館)。

写真は 府教委提供  asahi 新聞 より

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