法隆寺や東大寺などの貴重な仏像が一堂に会す「奈良の古寺と仏像~会津八一のうたにのせて~」が、東京・日本橋の三井記念美術館で開催中だ。平城遷都1300年を記念した展覧会で、国宝3点、重要文化財45点を含む計65点を展示している。
最も知られている仏像は、国宝で「夢違観音(ゆめちがいかんのん)」の名がある法隆寺の観音菩薩立像(ぼさつりゅうぞう)だろう。この像を拝めば悪夢を良い夢に変えてくれるという伝承から、「夢違」の別名がついた。白鳳(はくほう)期(7世紀)特有の童顔が愛らしい。
やはり国宝である室生寺の釈迦如来座像は平安時代の作(展示は25日まで)。重量感みなぎる体や、ひだが流れる着衣の表現が力強い。ユニークな姿に驚かされるのは、東大寺の五劫思惟阿弥陀(ごこうしいあみだ)如来座像。仏教上の長い時間(五劫)、修行した法蔵菩薩(阿弥陀如来)の姿を表した珍しい作例で、長い髪の毛が時の経過を象徴している。
このほか、唐招提寺や西大寺、薬師寺など、計20寺院の飛鳥時代から鎌倉時代までの仏像と仏教工芸品の優品が並ぶ。時代による様式の変遷や技法の違いが見てとれて興味深い。また、奈良をこよなく愛した詩人で美術史家の会津八一(1881~1956)にも焦点を当て、書や歌碑拓本など約20点を合わせて展示している。
9月20日まで。7月19日を除く月曜と同20日は休館。問い合わせはハローダイヤル(電話03・5777・8600)へ。
永田晶子 より
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