悪病や悪因をキュウリに封じ込めて、今夏の無事健康を願う夏越の大祓(おおはらい)「きゅうり封じ」が8日、湖西市新居町中之郷の応賀寺で営まれた。古くからある習わしだが、遠州地方で行っている寺院は少なく、地元のほか近隣の浜松市からも市民が大勢祈願に訪れにぎわった。 (堀内孝義)
境内にある県指定文化財の薬師堂には多数の参拝客らが訪れ、持ち寄ったキュウリに名前、年齢、病名を書いて供えた。法要では僧侶が読経しながら夏負け、病気、交通災難などの厄災封じを祈願した。このあと参拝者らはキュウリを受け取り、肩や腰、手足など体の悪い部分を祈とうしたキュウリでさすって厄払いし、境内の一角に設けたキュウリ納めの穴に埋設するため入れた。
浜松市西区舞阪町から訪れた山本たかこさん(79)は「毎年来ています。今年も体全体の病気を封じ込めました」と笑顔で話した。
「政治の汚れも封じ込め」
衆議院議員の城内実さんも初めて祈願に訪れ、「当選してからお酒をよく飲むので肝臓の病気を封じ込めた。もちろん日本の政治全体の汚れも封じこめました」とクリーンな政治の祈願も忘れなかった。
きゅうり封じは、約1200年前に真言宗開祖の弘法大師が薬師如来の本願で病魔や悪鬼をキュウリに封じ込めて病を癒やして無病息災を得られたことが始まりと伝えられる。キュウリは輪切りにした際の切り口が仏教の法輪に似ていることから古来、神聖な食べ物とされている。きゅうり封じの習わしは、その後、夏越しの大祓として定着。京都市の蓮華寺や神光院のきゅうり封じは有名で、応賀寺では約27年前から毎年続けている。
中日新聞 より