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風祭り 千本ゑんま堂 風鈴の音はいにしえの

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756-4.gif正式名称は引接寺(いんじょうじ)。だが京都では“千本ゑんま堂”の方が一般的だ。平安時代、現世と冥土(めいど)を自由に往来し、地獄の閻魔大王(えんまだいおう)の下で裁判の補佐を務めたといわれる小野篁(おののたかむら、802~853年)が創立したことで知られるが、ここで毎年7月1日から16日まで、様々な形の風鈴を飾り、夕涼みを楽しむ「風祭り」が催される。ここ数年、京都の夏の新たな風物詩として知名度を高めつつある。

 ■「ちりん、ちりん」風と香りのハーモニー

 「風祭り」が始まったのは6年前。千本ゑんま堂によると「京都のお寺の拝観は秋が多いので、うちは夏に夜間の特別拝観を行おうと考えた」というのが開催のきっかけだった。

 しかし単なる拝観ではなく、自然の風の素晴らしさやありがたさをみんなが感じることのできる催し物にしようと風鈴を題材に選んだという。

 「熱いからといって、みんなすぐにクーラーのスイッチに手を伸ばそうとしますが、昔の人のように、本来、京都の夏もうちわひとつで過ごせるはずなのです」ちょうど時代はエコ。「風を音で楽しんでもらうには風鈴の涼やかな音色が一番ですからね」と開催趣旨を説明する。

午後7時半からオープニングのライブ演奏などが行われ、本堂に陣取る本尊の「閻魔法王」の像の前に約50個の風鈴がぶら下げられる。風に揺れてこれらが一斉に“ちりん、ちりん”と涼しげな音を奏でる。お香を楽しむ会も行われ、風は香りも運んでくる。「着物や浴衣(ゆかた)でいらして下さい。特典がありますよ」と千本ゑんま堂。たまには自然の風に身を任せて夕涼みにふけるのも良いかも知れない。

文:岡田敏一/撮影:塚本健一 

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