米ジョージア州のエモリー大学で毎年開催される「チベット・ウィーク」の記念行事の一環で今年3月22日から27日、仏教の僧侶たち数人が6日間かけて見事な砂曼荼羅(まんだら)を作り上げた。
砂曼荼羅を作る儀式は数千年前から続いている風習。絵柄は数百種類に上る曼荼羅模様の中から選ばれる。この作業を行う僧侶は、長い年月をかけて修行を行い、口頭で儀式の手順を覚える必要があるという。
砂曼荼羅作りの儀式は、曼荼羅を作る場所を祝福することから始まる。数時間かけて下絵を描き、それから後は気が遠くなるほど単調な作業が始まる。僧侶たちは数百万粒もの色砂をテーブルの上に一粒ずつ丹念に並べていくのだ。大変な緻密さが必要とされる作業だという。
僧侶たちは並外れた集中力でひたすら砂曼荼羅作りの作業に打ち込んでいたと、製作過程の撮影を担当したカメラマンは語る。
最後の1粒を置き終えた後、僧侶たちは、その完成品を愛でる時間さえない。出来上がった砂曼荼羅は1時間以内に完成の儀式をしながら、はけでていねいに掃き捨ててしまうのが、この風習のしきたりだからだ。形あるものはいつかは滅びるという、仏教の考え方の象徴なのだという。
cnn.co.jp/world/AIC201006060011.html から