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葉ゆかり「恭仁京」PR

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聖武天皇が都■大伴家持が詠歌

 平城遷都1300年祭にわく奈良に隣接する木津川市は、聖武天皇が恭仁(くに)京を置くなど奈良とのかかわりが深く、万葉集に収められた多くの和歌にも詠まれている。同市などで作る1300年祭関連イベントの実行委員会は、「もう一つの万葉の里」を宣伝しようとシンポジウムなどを企画している。

003-5.gif「今造る久迩(くに)の都は山川のさやけき見ればうべ知らすらし」

 万葉集の編者とされる大伴家持が、恭仁京をたたえて詠んだ歌だ。わずか4年と短命に終わった恭仁京だが、家持には平城京に残した妻と互いを思った歌など、恭仁京ゆかりの歌が多い。歌人・田辺福麻呂(さきまろ)も恭仁京が廃された後の荒廃を悲しみ、「三香原(みかのはら)久迩の都は荒れにけり大宮人のうつろひぬれば」と詠んだ。

 万葉集には、物流の拠点で人や物資が行き交った木津川(泉川)も多く登場する。

 もう一つ注目されるのが、万葉集の一節とみられる歌が墨書された木簡が見つかった同市木津の馬場南遺跡だ。

 同遺跡には「神雄寺」という寺があり、燃灯供養が行われていたとみられる。奈良大学の上野誠教授(国文学)は、「木簡は仏教行事の一環である仏前唱歌で、参加者に見せる歌詞カードのように使われたのでは」と推測する。

004-2.gif22日は鹿背山(かせやま)周辺を歩いた後に講演を聞く「万葉ウオークと講演会」がある。午前9時にJR木津駅に集合。午後1時15分から、同市加茂町の市加茂文化センターで犬飼隆・愛知県立大教授が「儀式と歌木簡」の題で講演する。

 30日午前10時〜午後4時半は、同市山城町の山城総合文化センターで講演と記念シンポジウムがある。上野教授をコーディネーターに、奈良女子大の坂本信幸名誉教授、市教委社会教育課の中島正・課長補佐らが意見を交わす。

 いずれも無料で申し込み不要。問い合わせは市観光商工課(0774・75・1216)。同市山城町の府立山城郷土資料館では、歌木簡のレプリカや、万葉集の複写本などを展示した企画展を開催中。6月20日まで。

写真は大伴家持が作った恭仁京をたたえる歌の歌碑=木津川市加茂町

「狛山」「泉河」などゆかりの地名が出てくる歌碑=木津川市山城町

朝日新聞 から

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