子どもや若者に親しんでもらおうと、仏教界でも「ゆるキャラ」を使う動きが広がっている。京都や和歌山に本山を置く伝統仏教の宗派は、宗祖に関連した大きな行事を控えており、宗祖や僧侶をモデルにした愛くるしいキャラクターを通して、親近感アップにつなげたい考えだ。
真宗大谷派 高野山真言宗 浄土宗 臨済宗妙心寺派 説教くささ和らげ
真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)は今月1日、宗祖親鸞の750回御遠忌を前にキャラクター3体を発表した。親鸞の名にちなむ僧侶姿の獅子「鸞恩(らんおん)くん」たちが活動している。
高野山真言宗(総本山・金剛峯寺、和歌山県)は、5年後に高野山開創1200年記念大法会を迎える。PRのため、しっかり者の修行僧「こうやくん」が全国を回っている。
浄土宗でも、小学1年のおとぼけ男の子「なむちゃん」が子どもたちに人気だ。当初は浄土宗出版室(現・文化局、東京都)のキャラクターだったが、来年の法然の800年大遠忌に向けて、総本山・知恩院(東山区)をはじめ、宗派内の寺や団体からも使用を求める声が上がっている。
臨済宗妙心寺派(大本山・妙心寺、右京区)の「はなぞのちゃん」は、楽しそうに掃除をする寺の小僧さんを漫画風に描いている。1994年に壇信徒組織「花園会」のキャラとして登場した。2004年に正式に商標登録され、修学旅行生に配るパンフレットやしおりなどに登場している。4月からは関係者の名刺にも刷り込む予定で、活動の場は広がる一方だ。
「はなぞのちゃん」を発案した霊桃(れいとう)寺(岩手県奥州市)の宮田正勝住職(65)は「当初は先取りしすぎた感じもしたが、多くの方に親しんでもらえて、うれしい限りだ。今の時代は動いてばかりいる。かわいらしいキャラクターを見て、ふと止まって考える。そんなきっかけにしてもらえれば」と期待する。
京都新聞 から