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自殺に救いの声、寺が連携して電話相談

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1-66.gif自殺の危機にある人を助けよう、というお寺の電話相談が東北に生まれている。自殺者が毎年3万人を上回る状況に仏教者が地域を超えて連携する、「命の駆け込み寺」づくりの全国運動の一環だ。昨年秋から秋田、山形、福島各県の三つの寺が活動を始め、宗派を問わず有志を募っている。

 この運動は、千葉県成田市の長寿院(篠原鋭一住職)を本部とするNPO法人「自殺防止ネットワーク風」が呼び掛けて昨年10月、全国20の寺から始まった。現在は約40カ寺が相談電話を設け、研修も行いながら、自殺の危機に追い込まれた人のよりどころを目指している。

 山形県内で活動するのは、最上町の松林寺住職三部(さんべ)義道さん(54)。「自殺はどこの地域でも深刻な問題。誰の心にも身近な寺が手を組み、相談と支援の場を広げられたら」と話す。

 「風」はホームページなどで参加する寺を公表し、「それを見た」という人からの電話が、三部さんには最近ひと月に3、4件はある。失業や借金、孤独に苦しむ若い人、家族関係に悩む年配者らが多く、話は1時間余りに及ぶ。

 東京で体を壊して派遣切りに遭い、行き場も金もなく野宿を重ね「死ぬしかない」と訴える東北出身者の相談や、「いま庄内浜で死のうとしている。親に伝えてもらえないか」という人の差し迫った電話も受けた。

 また、西日本のなまりで、「私は一人暮らしの難病患者で、生活保護だけが支え」―という匿名の訴えもあったという。

 「電話では問題の答えを急ぐのでなく、相手が話したいだけ話してもらい、とことん聴いて受け止める。命をつなぐのが寺の役目」と三部さん。

 相談者の住まいに応じて、どこであろうと寺のネットワークを通じて支援先を探せる。「一つの県に二つの寺を目標にし、宗派の別なく、これから東北に仲間を増やしたい」

 「風」に参加する東北の寺は、松林寺090(2276)3066、秋田県藤里町の月宗寺090(3120)4620=袴田俊英住職=、福島市の長秀院024(548)1240(深夜を除く)=渡辺祥文住職=。

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