日本では、古来からあった神道に、大陸から伝わってきた道教や仏教が加わり、昭和の初期までは独特の宗教的な世界を発達させていました。しかし、大戦での敗戦とともに西欧の様々な文化が流入し、日本の人々の意識も変化してきます。そのため現在の日本の人々、特に若者たちの意識には、西欧の様々な神秘行が大きな影響を及ぼしているといえるでしょう。
西欧の神秘行にあって代表的なものには、カバラ、西欧神秘伝統、ヘルメス学などがあります。”カバラ”とは古代ヘブライから伝わる神の秘密を知るための学問です。旧約聖書に隠された秘密を明かすための学問とも言われ、後のユダヤ教やキリスト教、イスラム教などに影響を及ぼすものでした。この神秘行は膨大な神秘文書と精緻な瞑想体系により、神との神秘的合一を目指すものです。
”西欧神秘伝統”及びヘルメス学は、このカバラに、エジプト文化やイスラム、ギリシアなど、西欧の様々な文化が組み合わされて生まれた大きな学問体系といえるものでしょう。このヘルメス学は、西欧の文化を陰になり日向になり動かしてきた学問であり思想体系といえるものです。そして、このヘルメス学という学問からこそ、現代の西欧的な”科学”という学問が生まれてきたといえるものなのです。
そして、このヘルメス学はまた”魔術”というものとも深い繋がりを持ちます。魔術という言葉は現在、誤解が強く根付いており、それを訓練していると聞くと、そういったものに世間一般の人は、アヤシイものや不思議なものを期待するかもしれません。しかし、神秘行でいう魔術とは、西欧に古くから伝わる宗教を研究する学問の一種なのです。身近な例でたとえてみるならば、それは、「西欧版の密教」という事柄が一番ピッタリくるでしょう。
以上が西欧の神秘行の中でも主だったものですが、その他にも神秘行にはキリスト神秘主義、グルジェフ・ワーク、神智学、人智学、スーフィーなど様々なものがあります。
anima-mystica.jpn.org から