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日本仏教心理学会

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明治維新から第二次世界大戦敗戦を経て、日本社会は近代化の激流にもまれながら大きく変化し続けてきました。地縁や血縁による村落共同体によって支えられ てきた日本的伝統が失われ、核家族化により家族の絆は薄まり、宗教文化による価値観の根拠が脆弱になるなどの変化の中で、これまでには見られなかった心の 問題や病が現れてきています。

 こうした事態に対して欧米ではキリスト教による「心の救い」に代わって「心の治療・癒し」を志向する心理学や精神医学が生まれました。日本でも、特に戦後、心理学や精神医学が宗教による救いの代替案として公的制度の主流に入り込むに至っています。

  仏教は本来きわめて理性的かつ哲学的に人間存在にアプローチし、身心の問題に対して実践的な洞察をもたらし、実存的な苦しみを安らぎへと変容させる総合的 な営みです。こうした意味において、仏教と心理学とはきわめて近しい関係にあります。しかし、残念ながらこれまでの日本では、仏教、心理学、精神医学など はお互いに心を開いて話し合い、人々の苦しみに対してどのように手を取り合って協力してゆけるかについて対話と統合の道を切り開くことができませんでし た。

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 深刻な心の荒廃が指摘される現在の状況において、今こそ、仏教と心理学に携わる研究者や臨床家や実践家たちが協力し合い、現代人の ための新たな心の理解、癒し、救い、成長への道を模索することが望まれているのではないかと思います。そのためには、仏教や心理学が抱える派閥的な束縛を 超えて、ひらかれた心で、それぞれの研究や臨床的実践の成果を発表しあい、学びあいながら、健全なる批判精神を失わずに対話を続けてゆくことが必要です。

 このような共通の問題意識を出発点として、私たちは「日本仏教心理学会」の創設を提案します。以上のような趣意にご賛同いただける方の参加を心からお願いいたします。

bukkyoshinri.com/default.aspx から

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