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興福寺南大門跡

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 興福寺南大門跡(奈良市)から出土し、魚の頭部が納められていたことが奈良文化財研究所の調査で15日、明らかになった地鎮用の壺。「大寺院の地鎮でなぜ生臭いものが…」。僧侶や研究者らは一様に驚いた。南大門建立時に行われた地鎮祭への陰陽師(おんみょうじ)の関与や呪術的なものとの関連が考えられるものの不明な点が多く、わずか数ミリの謎めいた魚の破片が、研究者らを戸惑わせている。

 殺生が禁じられている仏教。仏教経典「陀羅尼集経(だらにじっきょう)」でも地鎮めの埋納品は金銀、水晶などの七宝と五穀で、魚類は含まれない。

 興福寺の森谷英俊執事長は「仏教では考えられない魚が出て、何だろうかと興味津々です」。薮中五百樹・境内管理室長も「陰陽道くらいしか考えられないのでは」と驚きを隠せない。

 陰陽道は古代中国の陰陽五行説に基づくもので、奈良時代には中務省に天文や暦、時刻などを担当する陰陽寮も置かれた。正倉院文書には、法華寺(奈良市)の阿弥陀浄土院や石山寺(大津市)の地鎮祭に、陰陽師が関与した記述が残る。

acd1006152336005-n1.jpg しかし、別の文献によれば、陰陽師がかかわったとみられる地鎮の祭りで使われたのは、カツオやアワビ。今回見つかったカサゴ・メバル類ではない。また出土したのが頭部の骨だけで、奈文研の森川実研究員は「何らかのまじないかもしれない。民俗学的な見地からの検討も必要では」と考えを巡らした。

 一方、辰巳和弘・同志社大教授(古代学)は「海、山の象徴として魚とナツメなどを入れたのではないか。海山の力を須恵器の中に封印し、南大門の永続を願ったのだろう」と話した。

sankei.jp.msn.com より

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