「仏像ガール」で知られる広瀬郁実さんの講演会「仏像に会いにいこう」(中日新聞東海本社後援)が5日、浜松市中区下池川町の天林寺であった。寺の「仏教に親しむ会」の主催で、約100人の市民が耳を傾けた。 (出来田敬司)
広瀬さんは中学生の時、父の死がきっかけで仏教に興味を持った。全国のさまざまな仏像を見て回り、その素晴らしさを知ってもらおうと、講演や執筆などに取り組んでいる。
講演の中で、広瀬さんは一風変わった3体の写真を取り上げ、その背景を説明した。
沖縄・首里城のそばの寺にあった頭部のない釈迦(しゃか)如来像は、太平洋戦争末期の沖縄戦で被災していた。爆風でこなごなになった仏像の破片を道行く人が拾い集め、もとの像に作り直したことを、現地を訪ねて知ったという。
広瀬さんは「自分の命さえ危なかったのに、仏様をよみがえらせようとした人がいる」と、仏像には人々の思いが込められていることを力説した。
さらに「仏様に愚痴や願い事を聞いてもらうが、人がいなければ仏像もない」と指摘。お互いを思いやる優しい気持ちが人間と仏像の双方にあると来場者に語りかけ、「多くの仏像に会い、優しい気持ちを大切にしてほしい」と締めくくった。
中日新聞 から