曹渓宗には、現在全国に3000余りの寺院がある。これらの寺院は25ヵ所の教区に区分されて管理されている。各教区には教区を管理する本山がある。
韓国には、1700年という長い仏教の歴史があるので、中には数多くの創建説話と神秘に満ちたゆかりのある古刹が多いが、その代表的な例が、三大観音祈祷の道場と五大寂滅宝宮である。
五大寂滅宝宮の五大とは、五台山の上院寺、雪岳山の鳳頂庵、獅子山の法興寺、太白山の浄巌寺、霊鷲山の通度寺の五つのことを指す。寂滅宝宮とは、釈迦牟尼仏の真身舎利を奉安した仏殿のことを意味する。仏さまの真身舎利を奉安することによって、仏さまが常住しながら、そこで寂滅の喜びを享受しておられることを象徴される。それで仏さまの真身がおられることを意味するので、ここには礼仏の対象とする仏像を奉安しないで、仏壇だけが置いてある。
三大観音祈祷の道場とは、娑婆世界で苦しんでいる衆生を大慈大悲をもって救済される観世音菩薩の聖地のことで、一般的には観世音菩薩の常住する根本道場は海辺に位置している。印度では、南海岸の補陀洛迦山が観世音菩薩の常住処であり、中国では景色のよい舟山列島の補陀島にある潮音洞が観音の聖地とされる。また海のないチベットでは、キチュ河(Kichu)を海と想定して、江の流域にあるラシャ(Lhasa, 拉薩)を補陀洛迦と定めている。韓国でも、代表的な観音道場は、すべて海に面しており、東海の落山寺紅蓮庵、西海の洛迦山普門寺、南海の金山菩提庵の三つが、三大観音聖地である。
韓国では、昔から三宝寺院といい、通度寺と海印寺と松広寺を信仰の根本道場として尊重してきた。仏宝の寺である通度寺は、 新羅時代の慈蔵和尚によって仏さまの真身舎利が奉安された韓国の代表的な寂滅宝宮である。言わば、仏さまの真身を奉られた寺院という意味で仏宝の寺院というのである。次に、法宝の寺である海印寺は、ユネスコ指定の世界文化遺産である高麗の木版八万大蔵経を奉安しているが、仏さまの教えが書かれている大蔵経を安置しているので、法宝の寺院に位置づけられた。最後に、松広寺は、高麗時代以後、16国師を輩出した代表的な僧伽の寺院で、韓国最高の僧宝の寺院として崇仰されてきている。
僧侶の参禅修行の専門道場である禅院と経典の教育機関である講院、戒律の専門教育機関である律院などを揃えた寺院を叢林といい、 五大叢林とは、海印寺の海印叢林、松広寺の曹渓叢林、通度寺の靈鷲叢林、修徳寺の徳崇叢林、白羊寺の古仏叢林の五つのことをいう。
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