浄土真宗の僧侶らで作る広島雅楽会(藤末真会長)が、結成35周年を記念して29日に広島市中区加古町の市文化交流会館で演奏会を開く。総勢74人の、全国でも最大規模となる雅楽グループのメンバーたちは節目の会に向けて、練習を重ねている。
同会館で今月中旬に行われたリハーサル。「ドン、ドン」という力強い太鼓の音や、甲高く澄んだ龍笛(りゅうてき)、笙(しょう)の音色に合わせ、「舞人」と呼ばれる踊り手が、鳳凰(ほうおう)が王を祝う様子を表現した「萬歳楽(まんざいらく)」などを、優雅に舞った。
龍笛を担当する南秀和さん(37)(呉市阿賀中央)は「1年以上前から練習を積み、完成に近づいてきた。本番では最高の演奏を披露したい」と意気込む。
雅楽は仏教と共に中国から伝わったとされ、楽器や演奏形態などは1400年前の当時からほとんど変化はなく、世界最古の音楽とも呼ばれる。同会は、1975年に西本願寺(京都市)の勤式(ごんしき)指導所で雅楽などを学んだ僧侶5人で結成。寺院での法要儀式や、福祉施設などでの演奏活動を続けてきた。90年からは、5年ごとに演奏会を開催しているが、観客は寺院門徒らの「身内」が中心だった。
近年、雅楽師の東儀秀樹さんが人気となるなど、雅楽への注目が高まっていることから、同会は雅楽や仏教と接点の少ない人も興味を持つよう、雅楽の表現する宇宙をテーマにしたポスターを制作。当日は楽器や衣装、雅楽の歴史などをわかりやすくまとめたパンフレットも無料配布する。
藤末会長(43)は「1400年の歴史の重みや、生演奏の迫力を味わってほしい」と力を込める。
演奏会は午後5時開演。2部構成で、8種類の楽器の演奏や舞楽が行われる。チケットは2000円、先着1000人までで、デオデオ本店やローソンチケットで販売。問い合わせは広島雅楽会結成35周年記念演奏会公演事務局(082・230・1033)。
読売新聞 より