修復について
ガジュマルによる浸食が激しい。三重の回廊に覆われた遺跡には、文字通り樹木が食い込んでいる。あまりの酷さにインド政府はタ・プロームの修復計画を発表した(インドはタ・プロームの修復を担当している)。しかし、現在ここで議論が沸き起こっている。熱帯の巨大な樹木は遺跡を破壊しているのか、それともいまや遺跡を支えているのかという議論である。一般に遺跡の修復というものは、崩れている石材を積みなおし、失われた部材は補充してかつての姿を取り戻すために、作業計画を立案する。しかし、タ・プロームから巨木を切り払い、崩れている石材を元に戻した場合、この遺跡の魅力はなくなってしまうのではないのだろうか。だがこのままほうっておけば、遺跡は跡形もなく崩れ去ってしまうかもしれない。 2006年10月現在、この遺跡の修復方針をめぐって、ユネスコを中心とした活発な議論が継続中である。
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