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観光「堺モデル」注目…自治体、業界へプラン提案

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千利休や与謝野晶子、世界遺産登録を目指す仁徳陵古墳などがありながら注目度の低かった堺市が、観光都市を目指して繰り出した“窮余の策”だが、観光客は右肩上がりで増加。不況に伴うコスト削減で、新たな旅行商品の開発に手が回らない業界にとってもメリットがあり、他市からの視察も相次いでいる。

かつては、大浜公園に「東洋一」と言われた水族館があり、海水浴客でもにぎわったという堺市。しかし、昭和40年代、臨海部に重化学コンビナートが発展してからは工業都市のイメージが定着し、「観光バスが市内を走ることはほとんどなかった」(市観光部)という。

政令市への移行(2006年)を控え、05年度に国際文化観光部から観光部を独立させたのが転機に。翌年、旅行会社OBを職員として招き、堺観光プロモーションチームを設置。“プロの目”で、観光資源の掘り起こしを始めた。

2317223199_ee9ce6387d_o.gif「千利休も食べた」と伝えられる老舗和菓子店、昔ながらの鍛錬を変わらず続ける刃物工房、うどんすき発祥の店として知られる老舗料亭……。千利休も修行した南宗寺での座禅や刃物研ぎなど、体験型の企画などと組み合わせたプランを旅行会社に提案し、採用された。

06年7月に観光バスの借り上げ料の半額を助成する制度をスタートさせたことも後押しした。以前にはなかった堺旅行ツアーは、06年度には75件(参加者3233人)、07年度は178件(同6143人)、08年度は281件(同9281人)と、年々増えている。

08年秋に月2回発行の業界紙「トラベルニュース」で、「堺モデル」が3ページを使って特集され、一躍注目を集めた。岡山県や兵庫県西宮市、埼玉県川口市など、10近くの自治体が視察に訪れている。堺市観光部は「待ちの姿勢ではダメ。地元のいいものをどんどん売り込んでこそ、振り向いてもらえる」としている。

読売新聞 より

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