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英国大使館別荘:県に無償譲渡 アーネスト・サトウが中禅寺湖畔に建築 

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images-1-30.jpg日光市の中禅寺湖畔に建つ英国大使館別荘が、4月1日に県に無償譲渡されることが23日、分かった。別荘は、幕末から明治にかけて活躍した英外交官のアーネスト・サトウ(1843~1929)が建てたもので、湖畔にある外国大使館別荘では最も古い。福田富一知事は毎日新聞の取材に対し「歴史的な建築物を譲渡していただけることになり、大変ありがたい」と語り、県は改修後に一般開放するための整備を進める方針。【

中禅寺湖畔は標高約1300メートルで、真夏でも清涼であることから明治以降、避暑地として多くの大使館別荘が建てられ、最盛期には30カ国の別荘があった。大使館員らが蒸し暑い東京を避けて、夏を過ごし「夏場は外務省が日光に移動している」と言われるほどだった。英国大使館別荘は、その中でも最も古く、1896(明治29)年建てられた。

「日光避暑地物語」など日光に関する著作がある元市職員の福田和美さんによると、英国大使館の通訳だったサトウが、湖畔の家を借りて夏場を過ごした際に同地を気に入り、明治天皇から土地を提供されて別荘を建てた。その後、大使館別荘として使用したという。サトウは後に駐日特命全権公使になるなど、当時の日本研究の第一人者だった。

別荘は5078平方メートルの広大な敷地にある木造2階建てで、延べ床面積は約495平方メートル。外観は和風建築だが、中には暖炉なども備わる。敷地は国有林で、大使館側が国に地代を支払っている。

images-30.jpg湖畔にはフランス、ベルギー、イタリアの外国大使館別荘(記念公園含む)が現存するが、その中でも最も眺望がよいとされ、2階の窓からは紅葉で有名な八丁出島が眼前に広がる。工部大学(現東京大工学部)で日本に近代建築を導入したジョサイア・コンドルが、別荘建設の際にサトウから相談を受けたという。

別荘は老朽化が進み、2年前から使用されていなかった。昨年1月に大使館側から県に譲渡の相談があり、11月には総領事が県を訪れ、無償で譲渡する旨の依頼があった。その後、県が測量などの現地調査で建物の状態を確認した。

県は、同じく湖畔にあったイタリア大使館別荘を有償で譲り受け、2000年10月に記念公園として開館した。県では英国大使館別荘についても、譲渡後に調査や補強工事を実施し、一般公開をする予定。ただ、イタリア大使館別荘の公園整備費は3億円弱で、今回も同様の費用が見込まれるため、公開時期は未定としている。

浅見茂晴、葛西大博=一部地域既報 より

毎日jp から

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