佐賀市の高伝寺が所蔵する国内最大級の大涅槃(ねはん)図の修復を記念した国際シンポジウム「巨大掛け軸をめぐる文化交流-祈りのかたち 日本と韓国-」が14日、福岡県太宰府市の九州国立博物館であった。修復後に初めて一般公開された涅槃図前で法要も執り行われた。
シンポでは、2年ががりで修理を手がけた国宝修理装こう師連盟九州支部の君嶋隆幸技師長が、図に生じた縦、横、斜めの3種類のしわの原因と修理法を説明。「どれくらいの力で紙が伸び縮みするのか、非常に大きいこともあって苦労した」と語った。
同館の学芸員は、巨大仏画の変遷について、檀家(だんか)制度が確立した江戸時代は多くの人が儀礼に参加したことや、釈迦(しゃか)の遺徳をしのぶ涅槃会が年中行事となり、涅槃図が数多く描かれたことを紹介した。
韓国の屋外仏教儀式で飾られる巨大仏画「掛佛(クェブル)」も紹介された。韓国の研究者は「韓国では仏画が形として残るだけでなく、今も信仰の行事として続いている」と語った。
釈迦の死の様子を描いた大涅槃図は縦15メートル、横6メートル。佐賀市の重要文化財で、江戸時代の1706年に作製され、同博物館で約170年ぶりに修復した。
【写真】修復記念で執り行われた大涅槃図の法要。多くの来場者が見守った=太宰府市の九州国立博物館 http://www.saga-s.co.jp から