日本の話をしましょう。私が最初に訪日した1967年、その当時、日本はすでに物質的に恵まれた産業国家であり、仏教信仰を含む豊かな文化遺産も発展させてきたという印象を受けました。だから、私は日本の友人たちに「現代の物質的価値と伝統的な精神的価値のバランスをきちんと取るべきだ」と助言しました。日本にはそれが現実になると感じていたからです。
物質的な発展はいかなる場合でも、やがて限界に直面します。だから、「あなた方はそのことを心に留め置くべきだ」と。「もしそうしなければ、遅かれ早かれ、あなた方は限界に直面し、精神的に大きなショックを受けるだろう」と。そして、日本は何年か経済成長を果たしたのち、困難に直面しました。そして、今では経済の分野でも危機に苦しんでいるようです。
そこで私の見解だが、祈りを通してだけでは問題は解決しません。私たちは教育システムを直視しなければならないのです。子供たちに、内面に存在する価値の重要性を教えるべきです。うわべだけの価値に限界があるのは明白だ。内面の安寧をもたらしません。私たちは現実主義者であるべきです。なぜなら、お金を持っているならばすべてOK、といったそういう態度はあまりに非現実主義です。お金が私たちのすべての欲望をかなえることができるという考え方は、内なる発展を阻害するのです
Q しかし、現代のシステムや考え方を変えるのはきわめて困難です。
A 私たちは将来の世代のことを常に考えなければなりません。私たちが直面しているいくつかの問題は、過去の怠慢が引き起こしました。あなた方はそれを除去しなければならないのです。逃げ道はないのです。だからこそ、今を生きる世代は苦しんでいるのです。我々の過去の世代は間違った。変えることに奇跡はない。私たちは真剣に考えなければなりません。そして将来の世代のために。仏教とは輪廻(りんね)だと信じることだ。だから、私たちの次の生誕はよりよく幸せになれるでしょう。
毎日新聞 より