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金剛経解説

木曜日 2010年6月3日, によって ジン

Langues :

ダイアモンドの如き知恵の完成という意味じゃな。
 大体般若経というのは空観のやり方を説くものじゃが、この経には空と言う言葉は出てこない。
 それにもかかわらずこれが般若経であるのは、論理的な実践によって認識の働きを止めるという共通した内容があるからじゃ。
 
 空は全てが有るでもなく、無いでもないとして心の働きを止める。
金剛経はまた別の論理、論理外の論理によって心の働きを止める事ができる。
それ故にこれも又知恵の完成と言っても良い経になるのじゃ。
 金剛経の前半には他の般若経と同じく、全ては幻であり、それを観念として捕らえてはいかんと説く。
そこで重要なのが、人が己というものを認識する時、持っている言葉とイメージなのじゃ。
サットヴァ、ジヴァ、アートマン、プトガラという四つが個我の観念として説かれる。

サットヴァとは生きている者という観念。
ジーヴァとは生命とか固体。
アートマンは心の最奥にあるという不滅の認識主体
プトガラは輪廻の主体とされている。
これらの観念は人が個我というものに抱くイメージを表している。
自分とは生きているものであり、個体であり、不滅の認識主体であり、輪廻の主体であると、当時の者が抱いていた個我のイメージを代表して説いている。
 
現代でもこれと似たような、自分というもののイメージを抱いている者も多いじゃろう。
 
生き物である自分、他から離れた個体である自分、不滅の認識、見るものである自分、生まれ変わる主体の自分というイメージ。
多少の違いはあってもそれらのイメージを抱き、肉体や感覚、思考、感情、認識などに投射して個我というものを認識しているのじゃ。
 
わしはこのうちのプトガラと言う言葉に触れ、自らが過去からの記憶を持つ者としてのイメージを抱いている事に気づき、自我が落ちた。
それは作られたイメージであり、自分では無かった。
自分というもの、自分という固体は無かった。
そして無為に坐し、悟りは開かれた。
 
このように経を、意味を確かめながら読む事は意味があるものじゃ。
お釈迦様の説かれたものでなくとも、目覚めた者が自我の牢獄の外で書いたものは、牢獄の中に居る者に気づきを起こさせる力がある。
 
金剛経ではこれら四つの観念を持つべきではないという。
そして、法という観念も、非法と言う観念すらも持つべきではないという。
それを実現する為に、金剛経には独特の論理外の論理による法が説かれる。

経によれば、法とは法ではないという。
そして、それだからこそ法と呼ばれるという。
法は法ではない。
だからこそ法と呼ばれる。
おかしな事じゃ。
普通の論理とはA=B B=C 故にA=Cとか書かれるものじゃ。
そこには何の不思議もない。
しかし、金剛経ではA=非Aだという。
故にA=Aであるという。
明らかに論理を逸脱した、論理外の論理と言えよう。
このような論理外の論理が、世界とか、悟りとか、さまざまな観念に対して延々と説かれる。
これこそが金剛経の最も伝えたかった法と言えるのじゃ。

人間の認識は外にある物を感受すると、その特徴を抽出し、記憶の中にある物と照合して、名前を確定する。
 
例えばりんごを見れば赤いとか、丸いとか、つやがある、へたがついているという特徴を見て、頭の中からそのような特徴のある物を思い出し、照合してりんごというものを認識する。
その動きは素早く、観察も容易ではない。
これを止めて観る事によって、自らの認識に気づき、自我は落ちる。
 
空観はその認識する物全てを空とする事によって認識の働きを止める。
金剛経の法は認識の働きそのものに介入する事によって、それを止める。
りんごというものが、実はりんごではないとすれば、りんごの認識は止まる。
しかし、りんごで無いならば、他のものであるという認識もできる。
それを止めるには、さらにりんごでないものが、それ故にりんごであると観じる。
そうすれば認識の働きは、逃げ道がなく、止まる事になる。
このようにして認識の働きは止まるのじゃ。
 
このような論理外の論理が、本当に法として働くのか疑問も湧くじゃろう。
しかし、このような法は何度も繰り返せば必ず効果があるものじゃ。
認識の働き、記憶による認識の働きそのものも、繰り返された習慣によって動いているものに過ぎない。
それは新しい習慣を受け入れ、従うように出来ている故に。
 
このような論理外の論理による法が、頭では受け入れられなくとも、何度も繰り返し実践すれば必ず効果は現れるじゃろう。
他の般若経と同じく、金剛経の法も執着を滅し、囚われから脱し、悟りへの道となる。
後は実践あるのみじゃ。

onioshyou.blog122.fc2.com/blog-entry-78.html から

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